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コペルくん的読書日記

誰かと本の感想を語り合いたい寂しめなコペルくんです

カイジ「命より重い! 」お金の話(木暮太一 、2013)★★★★ー0044

ようこそ、クズのみなさま

 本書は経済ジャーナリストの木暮太一氏が、シリーズ1900万部を突破した大人気漫画『カイジ』を「お金の教科書」として読み解いた一冊です。筆者は、慶應経済卒業後、富士フイルムサイバーエージェントリクルートを経て独立という経歴をお持ちなんですね。へー。

 ちなみに僕はカイジを読んだことなかったのですが、これをキッカケにとても読みたくなりました。こういう物語と現実の中間という形態は、入口として結構いい具合に機能しそうですね。つまりこれをキッカケに物語(カイジ)にも現実(お金との付き合い方)にも興味関心が広がりやすそう、ということです。きっとこういう中間形態は僕みたいな中途半端に真面目な層にささる気がして、上手いな〜なんて考えたりしました。笑

 

■なぜ本書を手に取ったのか

 しっかりと社会人になるために、お金まわりのことしっかり準備しておきたいなと思っていたからです。結構サラッと読めました。

 

■気付き①「世の中のルールと他者の欲望を知ろうとすること」

 本書ではお金に関する説明が割とわかりやすくされています。例えば複利の破壊力や期待値など、数字で比較すると改めてわかることが多いです。

 「知らないやつは、勝負の前に負けている!」これは本書第3章のタイトルですが、このタイトルに大切なメッセージが全て詰められているような気がしました。本書を通して「これだけは知っておけよ、じゃないと負けるぞ!」という知識をこれでもかと受け取ることが出来るからです(まあ、そもそも書籍自体の多くが分野は違えどそれぞれそういう機能を果たしているんですけどね笑)。

 では、一体何を知るべきなのか。僕は「世の中のルール」と「他者の欲望」を理解しておくべきだと解釈しました。

 世の中のルールとは、この世の中がどういう風に回っているのかという構造のことだと思っています。ルールという言葉について、狭義では「誰かが作った規則」だと思いますが、もう少し広く「世の理、本質、原理原則」というものも含まれていると勝手に思っています。そして、他者の欲望に関してはそのルールの一部となりますが、その中でもかなり大事だと思ったので特筆しています。

 例えば今回の話でいうと、「なぜリボ払いは損なのか」という現実に直面しているコトから、「複利というのは単利と比べてこんなにも破壊力バツグンなんだ」という概念、「人は誰しも自分が得になるべくして行動している」という人間の行動原理などがそれです。これらを知っておいた方がいい、むしろ知らないといろいろなところで騙されて損をしますよ、と本書も言っております。

なぜ相手は、その話をあなたに持ってきたのか?

 特に今回気付きがあったのはこの問いです。まあ当たり前といえば当たり前なのですが、これを常に自分に問えるようになればかなり騙される確率が下がるのではないかと思います。すなわち相手は一体どういうメリットを獲得するためにその言動を取ろうとしたのか、それをしっかり追えるようになりたいです。

 以前にこんな経験をしたことがあります。「俺は一人で金持ちになってもつまらないから、みんなと稼いで楽しい生活をしたいんだよ」とある人にいわれました。まあ胡散臭いとはいえ、一見たしかにそうだよなと思えるのも認めます。でも冷静に考えてみると、全然仲良くない僕にそんなことを言うはずがないと気付くのです笑。簡単です。あなたにとって優先順位が高い家族や親友や恋人はどうしているの?、ということですね。その人が本当に大切にしている人たちがそのウマみに手を出していない時点で黒ですよね。要は騙そうと思って言いくるめるために口当たりの良いことを言ってきていたのです。ちゃんと「世の中のルール」と「他者の欲望」を理解して、騙されないようにしたいですね。

 

■気付き②「他者の欲望を知る=相手の気持ちを相手起点で考える」

 さて、ここから主題が少しズレますが、他者の欲望を知るということについて思ったことを書いていきます。

 よくいろいろなところで「相手の気持ちになって考えよう」と言われます。しかしそれってかなり難しい試みだなあと感じていました。いろいろ恥ずかしい失敗もありますし、僕はそういう他人の機微を読み取ったり、真に求められていることを理解するには不向きな人間なんだと。

 で、今回気付いたのは「相手にとってメリットとなることを考えるためには、自分起点で発想しても上手くいく可能性は低い」ということです。当たり前すぎてごめんなさい。やや具体的にbeforeとafterを比較してみます。

 

今までは以下のような流れで相手の気持ちになって考えようとしていました。

 相手がこういう状況にいる
→僕がその状況だったらこう思う
→こういうことしてくれたら嬉しいと僕は思う
→だからそれを実行する

 

でも今回の気付きによって、本来こうあるべきではないか、というのが以下の流れです。

 相手がこういう状況にいる
→そして相手はこういう言動をした
→相手は何のメリットを得ようとその言動をしたのかを特定する
→そのメリットを実現するような言動を実行する

 

 例えば女性から就活の相談を受けていたとします。「やばい志望動機書けない〜」とその人は言っています。

 以前の僕は、まずその状況に立って、「なぜ書けないのか」「何を考えたらいいのか」「どうやって作り込んでいけばいいのか」ということを洗い出し、その考え方を体系的に伝えます。なぜならいわゆる就活は1社にES書くのではなく、複数社にわたってそれを書く必要があるからです。魚をとってあげるのではなく釣り方を教えるというのが合理的な判断だと思います。少なくとも僕はそういうことをぜひレクチャーしていただきたかった!笑

 でもこれって違うよね、ということです笑。よく言われますが。

 この場合、その人が達成しようとしているのは、しっかり書けていないかもしれないという不安感の払拭ですよね。つまり褒めて欲しい。あるいは就活の辛さをわかちあって欲しいとかそんな感じだと思います。だから就活の辛さに共感しつつ、褒めるところを精一杯褒めつつ、その上でさらっと改善点を加える、という立ち回りをすべきだということになります(もちろん状況によりますが)。

 今までは視点を相手に移すものの判断基準は「僕」のままだったんですね。おそらく正しいと思われるスタンスは、判断基準を相手から構成しようとすること。視点については、あえて言うとすれば「神視点」って感じでしょうか。上手いこと言い得ているかは微妙ですが、このように、なんとなくドライに相手の欲望を把握できるようになった方が良さそうな気がしています。

 とはいえ、その相手の欲望を知るには大量のインプットと試行錯誤が必要なのは間違いありません。女性はこのように思うものだというインプットと、それが本当かどうか、ちゃんと機能するのかどうかというのをしっかり現実世界で試して検証していく必要があります。そうして「他者の欲望」への理解をすることで、自分自身が他者から騙されず、かつ、相手にも気持ちいい思いをしてもらうことにつながっていくと思います。

 

 ちゃんと楽しく人生を謳歌していくためには、口説いようですが上に書いたように、この社会がどういう原理で動いているのかという「ルール」と「他者の欲望」を知ろうとすることがかなり大事なんじゃないか、と本書を読んでいて思いました。お金まわりについて最低限抑えておきたい方、読んでいてたまにハッとするとこがありましたので、何かしらの気付きを与えてくれると思いますのでオススメです(読み返してみるとビックリするくらいマネーリテラシーについての言及がないですね。。あははは笑)。

カイジ「命より重い! 」お金の話

カイジ「命より重い! 」お金の話