コペルくん的読書日記

誰かと本の感想を語り合いたい寂しめなコペルくんです

採用基準(伊賀泰代、2012)★★★★ー0042

自分で起業するなり、志をひとつにする仲間と共同でプロジェクトを始めれば、そこでは、自分たちの世界観に基づいて仕事をすることができます。自分たちが考える理想の組織をゼロからつくることもできるし、「これぞ我々が取り組むべき」と信じられる仕事を、中心的な業務にすることもできます。そういった働き方を可能にするものこそが、リーダーシップなのです。逆に言えば、リーダーシップをもつ人だけが、そういった働き方を実現できるのです。

 本書はマッキンゼーの採用マネジャーを12年勤めた伊賀泰代(ちきりん)氏による「リーダーシップ論」です。タイトルと筆者の経験から「マッキンゼーの採用戦略」みたいな内容を推測してしまった方だと、あれ?、と思うかもしれません(ちなみにまえがきには、そういうのじゃないよ、といった旨が書いてありました)

 

■課題意識

 市場価値が高い人ってどういう人か、ということを知るべく本書を手に取りました。

 短期的な視点だと、現在就活中ですので、どうやって自己アピールすれば企業に刺さるのか、そのために面接対策ではどういうことに気をつけたらいいか、という知識を得られればと考えていました。

 一方長期的な視点だと、その市場価値が高い人とはどういう人かを理解し、そういう人になるためには具体的にどういうキャリアを歩めばいいのか、どういうことに挑戦していけば良いのか、ということを考えるヒントを得られればなと考えていました。

 

■気付き

①本当に考えることが好きなのか?
②大事なことは仮置きで前に進むこと

本書の大筋の内容をなぞることは割愛して、かなり細かいところで気づきがあったことを書かせて頂きます(ただ上記の課題意識と少しずれています笑)。

 

①本当に考えることが好きのか?

「頭の中から、解法という知識を取り出すこと」と「考えること」が全く異なる行為であることを、コンサルタント、すなわち面接担当者は日々、徹底的に叩き込まれています。

 まさにという感じでした。僕はいつも知識を総動員して物事を対処しようとしてしまっています(それで片がつかなかったら、闇雲に情報を集めに走る傾向があります)。が、しかし最近ようやく「考える」という行為が好きになってきたような気がします。もしかしたらゼロ秒思考のメモのおかげかもしれません。スイッチが入ると文字通り止まりません、フロー状態というやつです。とはいえ思考体力はそこまで培ってきていないので、持続時間等には課題を感じてしまっています。だから「好きだ!」ではなく「好きになってきたような気がします」になってます。

 でもやはり本質的には面倒くさがり屋なので、「考えることが心底好きだ」とは到底言えそうにないなって思ってます。このブログもそうですが、もともと最初にがっちり型を作りたがる傾向があります。この特性は相対的にかなり強いと自覚しています。一旦ある程度まで考えたら、もうその点については基本考えたくないのです。楽をしたいけどあんまりクオリティが酷いのは嫌、そういうわがままを達成するために、自動的に一定のクオリティを保てる、一定の作業だけやればそれなりになるようにということを最初だけしっかり考えようとします。もし考えることが心底好きな人だったら、きっと何度でも最善を目指してゼロベースで考え直せる人なんじゃないかなーと思います。



②大事なことは仮置きで前に進むこと

「ベストな結論が見つかるまで検討を続けるべきだ」などと言っていては、お話になりません。なぜベストな決断でなくても、決めることが重要なのか。ひとつの理由は、何かを決断すると、問題を浮かび上がらせることができるからです。(略)決断の後に問題が噴出するのは想定内です。むしろ問題を明らかにし、何を改善すべきかを浮き彫りにするために決断することさえあります。問題点が洗い出せれば、一歩前に進むことができます。

 刺さりました。最近はやたらと情報収集して、選択肢を集めようとしすぎる傾向がありました。孫正義氏に強く影響されているからなんですが笑。おそらく孫さんと僕とで決定的に違うポイントは、なぜ情報収集しているかという目的の「彩度」の違いだと思います。彩度という言葉が適切かどうかは不明ですが、イメージは「visionの鮮明さ」「具体性」を表現すべくこの言葉を使用しています。ぼんやりしているか、ビビッとはっきりしているかという違いです。だからブログで「就活しているから、世の中の流れを知っとかないとと思い本書を手に取りました」みたいなふんわりしたことしか書けていませんでした。

 ではなぜ彩度が低かったのかというと、結果を意識して考えられていなかったからです。最終ゴールは何かということだけしか意識しておらず、その行為のゴールを意識できていませんでした。要はその行動1つ1つは具体的に何のために、何がどう変わるために必要な行動なのかが意識できていなかったのです。働いているときあれだけ耳にタコができるくらい言われてきたにも関わらず…。

 そしてもう1つの原因はシンプルに僕が臆病だからなんだというところに落ち着く気がしています。今ある情報だけで決断していき、結果として引き起こってしまうことを受け止める勇気がありませんでした。だから情報を仮置きすることが怖くて出来ませんでした。でも、よく考えてみたら、少なくとも僕の就活ということに関して言えば、どういう情報をどれくらい集めれば意思決定出来るのだろうかと考えても答えに辿りつきませんでした。つまり、いくらやっても、いつかは「足りない」と思いながら決断しなくてはいけないときが来るんだと気づいたのです。だとしたら、上記のように今ある情報や考えだけで仮決めしていって、問題点を洗い出し修正して行く方が、余程前に進めるなと思い直しました。

 これに気付いて仮置きしていった結果、就活に関して段々と方向性が見えてきてある程度絞ることができました。ようやく具体的な企業名レベルで優先順位付け出来そうです。

 今回「就活どうするか」ということをひたすら仮決めしていくことで前に進めることができたのは、小さいですが、いい感じの成功体験だなと思います。とりあえず動いてみる、そういうフットワークの軽さという意味での行動力に関しては自信があったのですが、その散らかっている様子をあんまり頭良くないねと評価されてきました。なぜそうなったのかというと、単純に、全然考えていなかったからですね。おそらくそのときに大事だったのは、その行動の前の仮決めの段階だったんですね。そこをぐいぐい仮決めで考えを深めていくということは、今後常に意識して出来るようにしていければなと思います。

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