未来に先回りする思考法(佐藤航陽、2015)★★★★★ー0039
「何十年後にこうなる」という未来予測の結論のみを知ったところで、そこに至るまでのプロセスがわからければ、一切応用が利きません。しかし、もしも社会が進化するパターンを見抜いていれば、状況が変わっても未来を見通すことが可能になります。そのための汎用的な思考体系をお伝えするのが本書のテーマです。
株式会社メタップス代表取締役社長の佐藤航陽氏による「未来を予測する方法論」について書かれた一冊です。個人的にこれはかなり感動しました。世の中がどんどん変化していて、全然追いつけないという方には特におすすめかもしれません。こういうことだったんだ、という気付きも多く、本質的だなぁと、圧倒されます。
■課題意識
時流に乗りたいと思ったからです。孫の二乗の兵法の、特に「頂:登る山を決め頂上から見た景色を想像する」「流:時代の流れを見極める」がきっかけですね。ちょうど今、人生の岐路に立っておりますので、まさにそういう時流を知りたいと思いました。
■気付き
①「点」ではなく「線」で捉えて未来に先回りする
②未来に先回りする上で大切なこと
③とはいえ結局インプットとアウトプットは両輪ですという話
①「点」ではなく「線」で捉えて未来に先回りする
なぜ、人々はこうも繰り返し未来を誤るのでしょうか。その原因は人々の「思考法」にあります。人は、今目の前に起きていることからしか将来のことを考えることはできません。しかし、現在の景色という「点」を見て考える未来予測はだいたいにおいて外れます。なぜなら、現実は人間が認知できないほどの膨大な要素に溢れ、かつそれらが高いに複雑に影響しあって、社会を進化させているからです。
一方で、わずかながらではありますが、驚くほどの先見性を発揮して大きな成果をあげる人もいます。彼らは現在という「点」を見て考えるのではなく、長い時間軸から社会の進化のパターンを捉え、その流れを「線」としてつなげて、意思決定をしています。その後の流れを追っていくと、あたかも、彼らは未来に先回りしていたかのように見えます。
変化を見抜くことが難しい時代だからこそ、社会全体のパターンを見抜き、的確に未来を予測し、先回りできた企業と個人が最終的には勝利を収めます
「線」で捉えている人たちにとっては、どの事業を足がかりにするかという「道」は違えど、その「目的地」はほぼ同じです。Google、Amazon、Facebookなどの巨大IT企業の創業者たちが考える未来像は、驚くほど酷似しています。
ユーザーにとって最高の価値を提供しようとすれば、最も安く、最も速く、最も快適に、最適化されたサービスを提供し、ニーズを満たすことが求められます。「ユーザーが望むニーズ」と「現在の技術でできること」の接合点を突き詰めていけば、そこにバラエティはあまりなく、多くの場合その未来像は似たものにならざるを得ません。
引用がかなり多くなってしまいましたが、認識が改まることが多かったのでそのまま載せました。具体的にどういう「線」になっているのかはぜひ本書を手にとってみて頂ければと思います。
②未来に先回りする上で大切なこと
- 常に原理から考える思考法を身につけていること
- テクノロジーの現在地を知る
- タイミングを見極める
(1)常に原理から考える思考法を身につけていること
原理から考えるためには、そのシステムがそもそもどんな「必要性」を満たすために生まれたかを、その歴史をふまえて考える必要があります。長期的な変化の「線」で考えなければ、意味はありません。
手段が目的化することを防ぐためには、今やっている活動がどんな課題を解決するために誕生したのか、常にその原理を意識しておく必要があります
なぜイノベーションが生まれるのかというと、「必要性」があるからだそうです。だから常に国の危機に瀕していイスラエルはイノベーションが起きやすく、逆に安泰の日本ではイノベーションが起きにくいそうです。すべてのものは何かしらの「必要性」を満たすために生まれてきているので、その本質に立ち返り、もう一度その「必要性」に対してそれを解決する方法をゼロから考える必要がありそうです。
(2)テクノロジーの現在地を知る
今、社会の変化のスピードは過去最も速くなり、そしてなお加速し続けています。進化のスピードが急速に上がった現代においては、テクノロジーに焦点を当てることが、社会全体の構造を理解する一番の近道です。
課題への解決方法が時代に合っているかを判断するためには、テクノロジーの現在地を知る必要があります。
「必要性」に立ち返り、それを解決する方法を最適化するためには、最先端のテクノロジーを知っている必要があります。
(3)タイミングを見極める
「点」で考えるのではなく、「線」でつないで考えれば、何が起こるかを予測すること自体はそれほど難しいことではありません。ただ、それがいつ起こるかを読むのが難しいのです。タイミングが早すぎれば、コスト、技術、品質、倫理などの面で社会に受け入れられることはなく、逆に遅すぎれば成果はすべて他人に持っていかれてしまいます。
引用のままですが、タイミングはしっかり見極める必要がありそうです。孫の二乗の兵法でいうと、「天」ですね。
③とはいえ結局インプットとアウトプットは両輪ですという話
現代は「行動する人」が多くを得る時代です。変化を察知し、誰よりも早く新しい世の中のパターンを認識して、現実への最適化を繰り返しましょう。そのために必要なことをは行動すること、行動を通して現実を理解することだけです。
頭に入れた情報を現実世界で活用し、体験することなしに、対象を理解できることはありません。私が人間や社会が絡む領域について考えるとき、常に気をつけていたのは「打席に立つ」、つまり理論だけの評論家にならないことでした。すべての仮説と考察は実際に毎日の生活の中で活用し、本当かどうかを検証してみる必要があると、私は思っています。
そして全体のパターンを理解するために必要なのがサンプルの母数です。一度トライしただけで、そこからパターンを見極めるのは無理があります。パターンが理解できるようになるのは、一定数のトライを重ねてからです。
物事がうまくいかない場合、パターンを認識するために必要な試行回数が足りていない場合がほとんど、目標の達成を阻んでいるのは、実は人間の感情というフィルタだったりします。
一回一回の成否に一喜一憂せずに、パターンと確率が認識できるまで「実験」だと割り切って量をこなすことが重要です。
結局アウトプットしまくる必要っていうのはどこ行っても言われるんですね(笑)。今回引用しすぎて自分のコメントが少ないですが、まあ、こういう回があってもいいんじゃないかなって思いました(笑)