コペルくん的読書日記

誰かと本の感想を語り合いたい寂しめなコペルくんです

三色ボールペン名作塾(齋藤孝、2007)★★★★★ー0029

優れた物語が持つ普遍性を明確な形で心に焼き付け、自分自身に活かす。これが本書の目的である。

 日本の教育学者であり、作家でもある、明治大学文学部教授の斎藤孝氏。そんな彼による、三色ボールペン方式を使って「名作文学を一緒に読んでみよう!」という、中学生のときの国語の時間を思い出すような一冊です。赤と青と緑の三色を巧みに使いながら、いかにして名作を自分の人生の糧にしていくかという話を、名作を一緒に読み解きながら解説してくれています。 

■課題意識
 昨日に引き続き「今までの我流に近い三色ボールペン方式を本家流に矯正すること」を目的に読みました。また、かなり人間音痴だなぁという課題意識があって、もとから名作文学を自分の中に取り入れたいと考えていたので、それも副テーマとして読んでました。

■気付きと、感想
 今回もたくさんの差異が見つかりました。見つかりましたが、どうやればそれが改善できるかがイマイチよくわかりませんでした。難しそうです。ただ正解はないそうですので、気張らず自由にやっていこうと思います。以下、筆者の提言です。

  • 表情アイコンを使う
  • ストーリーを追うのではなく、心理描写を追うイメージ
  • 意味ありげな箇所に丸をつけておく
  • 状況や場面が変化するポイントは青、自分つの心情を表す言葉は緑、などという自分ルール作る
  • 小説の場合はとくに表現のインパクトに比重を置く
  • 単純明快、しかも強烈なイメージで、物語のテーマを一つの概念に集約する。
  • 例)「過剰な自尊心から虎になる話」:山月記

 わかったようなわからないようですが、わかったとして先に進みます。笑

  今回これを読んで本当に良かったと思うのは、この作品たちとの出会いです。ぶっちゃけ三色ボールペン方式の運用どうのこうのは忘れてました。何よりわかりやすい、というのがこの本の素晴らしいところです。一見、難しい言葉が並べてあって読むの大変なイメージがありますが、すぐ解説を挟んでくれます。本当に国語の授業みたいです(1つの物語が終わって解説という形ではなく、一つの物語を何分割にもしてくれてその間で復習をしつつ解説をしつつ進んでいきます)。

 ちなみに、掲載されている名作は以下のとおりです。

 羅生門芥川龍之介)、よだかの星宮沢賢治)、駆け込み訴え(太宰治)、山月記中島敦)、檸檬(梶井基次郎)、汚れちまった悲しみに(中原中也)、金閣寺三島由紀夫)、清兵衛と瓢箪志賀直哉)、こころ(夏目漱石)、雪国(川端康成

  余談ですが、中学生にしてかなりいい本と巡り合っていたんだなと思いつつも、果たしてこういう本に興味が持てるやつはどれだけいるのだろうか、ってなことを考えていました。いるとしたらかなり達観してますよね(笑)。今の自分がその物語を理解しているという訳では決してないですが、この歳になって初めて魅力が少しずつわかってきて、ちょっぴり嬉しいかもなんて思ってます(笑)。

 今後、名作を自分に住まわせるために、物語のテーマを一つの概念として集約するのはかなり効果がありそうなのでやっていきたいと思います。