コペルくん的読書日記

誰かと本の感想を語り合いたい寂しめなコペルくんです

天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある(山口真由、2014)★★★ー0020

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「努力」というのは、抽象的な「才能」ではなく、具体的な「技術」の集積

 東京大学法学部在学中に司法試験と国家公務員第Ⅰ種試験に合格、そして首席で卒業後、財務省に入省し、現在では弁護士として活躍中の山口真由氏。本書はそんな彼女による「努力の具体的な方法論」を述べた一冊です。そもそも努力とは何か、そして努力をはじめる前・努力を継続するため・努力を完遂するためというフェーズごとに気をつけるポイントは何か。それらについて彼女の経験談をベースに語られています。

 努力した方がいいとは思うけど具体的に何をどうしたらいいかわからない。そんな悩みを抱える人(私です)が「何か使えるものないかな〜」という感じでノウハウを拾っていくような読み方が効率的な気がします。

①「よく頑張るね」と言われてしまう真相
②目の前の目標、もっと言えば「今」に集中する
③具体的なハウツーで参考になったメモ
余談:私と仕事どっちが大切なの!!?

 

①「よく頑張るね」と言われてしまう真相

「よく頑張るね」と言われることが、私は好きではありませんでした。頑張りすぎを揶揄するような響きが含まれているように感じていたからです。

 これには私かなり共感できます。たしかに集団には全体を均一化しようというはたらきがかかると思います。もう少し突き詰めて言うと、結局は個人が「ぬるま湯につかっていたい」そういう易きに流れたい欲望が根本にありそうです。だからこそ、その手を振り払って努力をすることは間違いではないと思っています。一方で、筆者はあとがきにて次のように語っています。

 この本を書き終える頃に、「よく頑張るね」と言われることが嫌いではなくなっていることに気付きました。「よく頑張るね」と言われたときに、頑張ること自体を目的化していると言われているような、そんな揶揄を感じて、不快な気分になっていると気づいたからです。そして私はそうじゃないとはっきり言えるようになったからです。

 私には目標があります。そして、それに向けて努力をします。そして、その努力で成果を得ることを何よりも価値あるものと感じます。

 なるほどなと思いました。たしかに「よく頑張っているね」という言葉が誰の口から出ているかによって揶揄の意味が違ってきますね。とはいえ、いずれにせよ、それを言われるのは不快です。では結局どうしたらいいのか、それがこの目標を立てるということでしょうね。

 

②目の前の目標、もっと言えば「今」に集中する

 そこでポイントとなるのが、「目標の立て方」だと思います(ここでの「目標」とは、比較的近いうちに成し遂げたい、ある程度具体性の高いレベルの目標のことを言っています。言葉の定義の詳細についてはザ・コーチ(前記事ー0011)をご参照下さい)。

 結論、その「目標」だけをより明確にして、あとは方向性を示しておくくらいの粒度で設定するということ、が重要なのではないかと考えています。つまり、目的は抽象的に、ゴールは期限と状態だけ明確に、目標もいくつか順番に設置していくけれど、全てを段取るのは本当に直近の目標だけに絞る、とこれくらいのイメージです。

 理由は3つです。段取りを明確にするためにも時間をかなり費やしてしまうから、そもそもその段取りが達成される可能性が低いというから、達成したとしてもそれが当然であり結果減点方式なのでモチベーションが上がりづらいから、です。

 だから結局明日何を達成するか、今から2時間で何を達成するか、そこにのみ集中することが大切ということですね。結果、それの方が上に行けそうです。無駄に真面目すぎるきらいがある人(私です)は、どこまでの粒度で「夢」「目的」「ゴール」「目標」「vision」を持っておくかというところにも気を配る必要がありそうです。なんにせよ、ねらいはそれらを実現していくことなんですから、「いかに毎日を濃くする行動をしていくか」ということに尽きます。気をつけていきたいです。

 ※筆者は文中では、「努力を完遂するために必要な理想像は、5年後でも10年後でもない、明日の自分です」とも言っていますが、おそらくこれは5年後10年後の理想像が必要ないと言っているわけではありません。努力を完遂するために、というのは目の前の直近の目標を完遂するという意味でつかっています、だぶん。

 

③具体的なハウツーで参考になったメモ

 直近で早速取り入れられそうなアイデアをメモしておきます。

※本当に個人向けにカスタマイズしたメモを今後していきます。ですので、みなさんは読み飛ばして頂いた方がむしろ良いかと思われます。笑

  • 本質捉える大先生系読書の場合は教本を1冊に絞る
  • そのために事前にリサーチをする
  • さらに直接本屋に出向き時間かけて相性をみて決める
  • 読書の際、最初の1周は30分くらいかけて線を引かずに読む
  • ランニングアプリ導入して数値化して記録する
  • 他人の良いところを分析して自己分析を深める
  • 目標に「テスト」と「他人との約束」を組み込む
  • 聴覚的なインプットの手法を探る
  • 最後にイメージするのは「明日の理想の自分」

 

余談:私と仕事どっちが大切なの!!?

 時間は有限です。その時間に何を選択し何に集中するのか、つまり「何を捨てるのか」を選ぶことから私たちは逃げられません。物事に優先順位をつける必要があるのです。その中でも、よくある「私と仕事どっちが大切なの!!?」という例のアレ。大いに私たちを困らせるこの問題ですが、筆者はズバッとこう言っています。

私にとって恋人とのプライベートは文字通り二の次です。地球の総人口70億人のうち半数は男性です。少々ストライクゾーンを拡げれば、そのうち半数は適齢期と言えるでしょう。そのため、個人的には、恋人は代替不可能な存在だけではないと思っています。

 これには大いに笑いました。さすがにそれはもう「少々」の域を超えてますよね笑。そしてさらに優先順位づけのロジックを続けます。

しかし、かけがえのない家族はどうでしょうか。これは、仕事よりも優先します。仕事が変わることはあったとしても、私を産んでくれた両親が変わることはないからです。すると以下のような優先順位になります。

家族>仕事>恋人

仕事は私の経済的な基盤であり、家族は精神的な基盤とも言えます。それに対して、恋人は癒しの存在です。人生に、プラスアルファの潤いを与えてくれますが、基盤とまではいきません。

 いや〜言い切りましたね。笑 そして恋人に対するだめ押しがこれです。

こうやって、努力の対象に優先順位をつけ、それを念押ししておきます。そうしておけば、恋人と過ごしている時間に、上司から呼び出されたとしても、何のためらいもなく仕事に戻れます。

 もうさすがです。恋人さんには、どうにか結婚して下克上を果たしてくださいと労いたくなります。さすがにここまでやるのは、どうなんだろうと思いきや、意外にもかなり共感している自分がいます。まあ、このように優先順位をしっかり定義して、それをもとに行動すると周囲にあらかじめ伝えておくということは、無駄な気苦労も減って良いのかもしれません。とても参考になりました。

天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある

天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある