コペルくん的読書日記

誰かと本の感想を語り合いたい寂しめなコペルくんです

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義(ティナ・シーリグ、2010)★★★★ー0018

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快適な場所から離れ、失敗することをいとわず、不可能なことなどないと呑んでかかり、輝くためにあらゆるチャンスを活かすようにすれば、限りない可能性が広がる。

将来が不確実なのは歓迎すべきことなのだ。

 
予想できる道を外れたとき、常識を疑ったとき、そしてチャンスはいくらでもあり、世界は可能性に満ちていると考えることを自分に許可したときに、飛び切り面白いことが起きるのだから。

  本書は、起業のメッカとも言えるシリコンバレーに近いスタンフォード大学で教鞭をとっており、全米の起業家育成コースでもトップクラスの評価を得ているティナ・シーリグ氏による、「起業家精神」について語った自己啓発本です。状況がめまぐるしく変わる現代では、チャンスを見極め、物事に優先順位をつけ、失敗から学ぶことが必要です。この本の考え方は、起業したいという人だけでなく、人生をめいっぱい楽しみたい人にとっても役に立つものだと思います。

要約

 ニーズ(市場)があって、自分ができることの中で、自分がやりたいことをやれれば最高ですよね。そのためには積極的に外に出て多くの刺激を受け、身の回りを注意深く観察することが肝要です。そして、そこで拾ってきた問題を解決する方法を既成概念に捉われないで真剣に考えていきます。そうして考えついたプランを大きなリスクをおかしてでもやっちゃうのです。まあたぶん失敗しますが、問題はその失敗からいかに学んで、それを成功にしていくかです。これはわざと失敗をしろと言っているのではありません。失敗を覚悟して、しかし失敗が出ないように最善を努める。そうやって日々を本気で過ごしていけば、どんどん世界が広がっていきます。だからみなさん、自分の可能性を信じて失敗を恐れずにむしろ歓迎する気持ちで人生を楽しんでいきましょ!

 

どうやって洞察力を高めるのか

 要約のように生きていくためにも、まずは問題を見つける必要があります。そのためには洞察力が必要ですが、一体どのようにすれば洞察力を高めることができるのでしょうか。結論から先に言うと、まずは①「常識」を出来るだけ書きだすこと、そして②そこから次に「そもそも…」と考えて必要不可欠な要素を探っていくこと、それらをとにかく繰り返していくことではないかと思います。

 「洞察」という言葉をよく耳にしますが、考えてみればそもそもそれってなんだっけということで、早速辞書を引いてみました。「物事を観察して、その本質や、奥底にあるものを見抜くこと」とあります。つまり、観察して考えて(もしくは直感で)、その対象が対象たりえるために不可欠の要素を定義することが「洞察する」ということになります。これは「失敗からいかに学ぶか」、つまり、なぜ失敗したのか、成功するために外せないポイントは何だったのか、を考えるということにも通じてきそうなので、今回はこのテーマについて考えたいと思います。

 以下は、筆者が授業で、サーカス団のシルクドゥソレイユを例に、学生に常識を疑うスキルを磨いてもらうために行っている内容です。引用します。

授業ではまず、1939年の映画『マルクス兄弟 珍サーカス』のビデオを見せ、伝統的なサーカスの特徴を挙げてもらいます。「動物による曲芸」、「安いチケット」、「土産物売り」、(略)つぎに、いま挙げた特徴を逆にしてもらいます。「動物は登場しない」、「高額のチケット」、「物売りはしない」、(略)つぎに、伝統的なサービスのなかで残しておきたいもの、変えたいものを選びます。こうして出来上がった新しいサーカスは、シルクドゥソレイユ風になります。そして、つぎに、実際のシルクドゥソレイユの最近の公演のビデオを見ます。これで、自分たちが行った変更が実際にどのような効果をもつかが検証できます。

大事なのは、時間をかけて、常識だと思われていることを洗いざらい挙げていくことです。じつは、これがいちばん難しい作業です。(略)ただ、粘り強くやれば、目の前の選択肢を新鮮な目で見られるようになります。

 これを考えると、「常識とされているものを列挙し、対極の事項を挙げ、さらにその中から良い方をpickする」という作業は、その物事の本質が何であるかを考えていることと同じです。つまり「サーカスとは何か」という根本的な問いについて、要素ごとに本来あるべき姿を考え、その本質に迫っていくということになっているのです。

 例えば、仮にサーカスとは「一般人には真似できない動きで、あっと驚かせてくれる、非日常的な、演舞」であるとします(超適当です笑)。それを本質として据えて考えてみると、「たしかにサーカスと言えば動物って感じだけどいなくてもいいよな」とか、「一般人には出来ない希少価値の高い動きなんだから、物品販売よりもサービスだけに絞ってもいいんじゃないか」「いや、非日常的といえばディズニーランドも映画館も物販やってるよな」とかと考えられるわけです。このように、(私の思考の精度は置いておいて)結果として、先の作業は本質を考えるアプローチとして理にかなっていると言えます。

 まとめます。つまり、本質を考える(洞察する)ためには2つの行程をたどる必要があります。まずは「常識」を出来るだけ書きだして視覚化すること、そして次に「そもそも…」と考えて必要不可欠な要素を探っていくこと。このプロセスをたどることによって、洞察することが出来るというわけです。

 しかし、その力を鍛えるにはやはり反復するしかないと思われます。野球を上手くなるためには素振りをしろというやつですね。これはどの本でもよく言われるので避けられないなんだろうなと受け止めることにしました(笑)。ですので、例えば「就活とは」「彼女とは」「読書とは」といった興味あるテーマをこのようなプロセスでとことん反復してみようかと思います。気付きがあればその都度修正していくという感じで。そうやってどんどん積極的に失敗を重ねて、それをいかしてどんどん成功に近づいていきたいと思います。

 

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 475人 クリック: 17,353回
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