聞く力―心をひらく35のヒント(阿川佐和子、2011)★★★★ー0015
オチもないような下らぬ話の隙間にも、その人らしさや人格が現れていて、そこに共感したくなるような、なにか小さな魅力があれば、それだけでじゅうぶんです、そしてそんな話をする当の本人にとっても、自ら語ることにより、自分自身の心をもう一度見直し、何かを発見するきっかけになったとしたら、それだけで語る意味が生まれてきます。
本書は、1000人ちかくインタビューをしてきた阿川佐和子氏による「インタビューを題材としたエッセイ」です。タイトルから連想されるノウハウ本というよりかは、彼女が今までしてきたインタビューを振り返り、エッセイ集のようにまとめた形式になっています。とはいえ、そのひとつひとつのエッセイの中に「人と人とが話をする」ということに対しての彼女の知恵(経験値)が散りばめられています。
コメント
結局、人間って自分のことを喋るのが好きなんですよね。だからそういう会話を心底楽しんでくれる人(つまり聞き上手の人)と一緒にいることが楽しいと感じてしまうのだと思います。
とはいえ聞き手に回ったとしても、それはそれで楽しめてしまうというのが、今回気づいた「聞く」という行為の面白いポイントです。
相手の話を聞くというのはWin-Winな行為
昨日、人間失格(前記事ー0014)を読んで、情けは先手必勝でいこう、と思ったばかりですが、この聞くという行為は、「相手を喜ばせる」というフリをしつつ自分もちゃっかり楽しんじゃっている、というお得な行為なのです。笑
会話というのは一期一会で、まるで「生き物」のようです。話を聞いていく中で、相手の中からどんどんあふれてくる意外な掘り出し物を見つけていくのが楽しかったりします。そして、その掘り出し物を本人が一番びっくりしたりしているのです。こういう生産的で楽しげな会話を目指したいですね。
ではその会話を育てていくためにどうすればいいのか?(本書要約)
まず何よりも信頼関係を築く(仲良くなる)必要があります。そのためにはできるだけ相手の話に、相手の心に集中し、素直に「面白がっている」ことを態度で示してあげることが大切です。相手のペースや段取りや心構えを無視をしない、相手の気持ちと同じになろうとするのでなく、自分の似通ったところに重ねる、そのようにして聞いていきます。たとえつまらなくても、その「生き物」から透けて見えるその人らしい魅力を見つけようとするのです。そうすることによって、この「生き物」は自分たちの予想を超え、面白く育ってくれるでしょう。
具体的な話しやすい聞き方テクニック(メモ)
- 相槌をうつ
- オウム返しをする
- とにかく相手を観察する
- 相手の目を見る
- 目の高さを下に持ってくる
- 「わかります」と安易に言わない
- 知ったかぶらない
- さりげなく付け加えらえた形容詞、言葉の最後にはさみこまれた普通名詞、ちょっとした言葉に注意
- 具体性を引き出す質問をする