コペルくん的読書日記

誰かと本の感想を語り合いたい寂しめなコペルくんです

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング(赤羽雄二、2013)★★★★★ー0003

 

「A4の紙に1件1ページで書く。ゆっくり時間をかけるのではなく、1ページを1分以内にさっと書く。毎日10ページ書き、フォルダに投げ込んで瞬時に整理する。それだけで、マッキンゼーのプログラムでも十分に教えていない、最も基本的な「考える力」を鍛えられる。深く考えることができるだけでなく、「ゼロ秒思考」と言える究極のレベルに近づける。(略)すなわち、瞬時に現状を認識し、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できるということだ。迷っている時間はゼロ、思い悩んでいる時間はゼロになる」

 元マッキンゼー、現ブレークスルーパートナーズ株式会社共同創業者の赤羽雄二氏による、「いかに深く考えるか」について具体的な方法論を示してくれている一冊です。

 ずいぶん考えたと思ったが気付けば少しも前に進んでいなかった、そういう経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。では、なぜ私たちは深く考えられないのでしょう。それは深く考える具体的な方法論を知らないから、とのことです。そしてその方法論こそが上で引用したように「メモを書くこと」なのです。

 では、なぜメモを書くことが「深く考える」ことにつながるのでしょうか。ポイントは「言葉への鋭い感覚」と「思考の視覚化」にあります。

 多くの思考は言葉によってなされています。どうやらコンサル業界では「書かれない思考は思考ではない」という言葉まであるようです。頭の中で考えましたというだけでは、まだそれはイメージとか感覚といったふわふわしたものにすぎない、というような意味だと思われます。つまりこのイメージとか感覚をきちんと言葉で表現することがすなわち「考える」ということになるのです。さらに言うと「きちんと考える」ためには、頭に浮かぶイメージや感覚を自由に的確に言葉にすることが大切です。そしてそのためには言葉の中心的意味と揺らぎをとらえる必要があります。このメモ書きという実践を数多くこなして、そういう言葉への感覚をより鋭くしていく必要があるのです。

 一方で、その曖昧なイメージや感覚を具体化・言語化し、書くことによって「視覚化」するということは、すなわち自分の思考を第三者の視点から捉えることを可能にしたと言えます。一生懸命考えているつもりだけど少しも前進できていないとき、大抵それは「ああでもない、こうでもない」という考えが堂々巡りしているパターンが多いです。例えば、全然考えても意味のないところに時間をかけまくってるとか、解決策まで考えず、あるいは表面的なそれまでしか辿り着いていないのに満足してしまっている等がその一例です。その点、そういうのを表に引っ張り出し第三者としての視点をもたらすこのメモ書きには、まずそういう現象を自覚させる効果があります。それによってやっと本当に考えるべき問いがだんだんと見えてくるのです。そしてそれに答えてはまた次の問いを見つけ、ということを繰り返し、どんどん深く本質へと潜っていけるのです。

==コメント==

 実はこの書籍を拝読するのは二度目です。かれこれ20cmくらい紙が積み上がる位には、このトレーニングを実践してきました。この手法は、先日拝読した「知的複眼思考法」との相性が良さそうだと思い、改めてこの方法論について考え、「深く考える」ことができるようになろうと思い再読しました。(この記事もゼロ秒思考のメモによって内容を考えております。以下はあえてそこから手を加えておりません。見辛いかもしれませんが、「いき」と思ってどうかご容赦下さい)

■なぜ知的複眼思考法と相性が良いと思ったのか?
・視点の提供は知的複眼思考、具体的に考える方法論がゼロ秒思考メモという棲み分け
・とにかく1枚につき1テーマという形式は応用が効きやすい
・例えば「もしクライアントだったらこの提案どう思うか」という視点の変換も可能
・あるいは「そもそもこれって何が問題なんだっけ?」とメタを問うことも可能
・あるいは「会議に時間がかかってしまうのって本当に目的が明確じゃないからだけなのか」とものごとが多面的に構成されている可能性も審議できる

■メモで今後さらに気をつけるべきは?
□本当に解決したい問題についてしっかり考える
・考えやすいところだけ考えて、本当に考えなくては行けないところから目を背けがち
・とにかく「うっ」てなったとしても1分だけなので、思いついたことそのままトレースしてみる

□メモは書いた直後に2-3秒内容を推敲すると良い
・今までは、次の思考がすでに頭をよぎっているからすぐに次を書くことが大切と思っていた
・けれどのちのち見返すときや、今後アウトプットの質を改善していく上でもそのタイミングで修正をかけたい
・だから過不足がないか、わかりやすい表現かどうか、メモを書いた直後に2-3秒推敲の時間にあてる

 

ゼロ秒思考  頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング